Column
コラム
京の歴史と伝統を紡ぐ:時代祭
2024/10/10
京都三大祭の一つ、平安神宮の大祭・時代祭。
毎年10月22日に行われる時代風俗行列は
動く歴史風俗絵巻とも言われ
その豪華絢爛さで京都の街は賑わいを見せます。
今回は京都人の誇りをかけて始まった
時代祭の歴史を紐解いていきます。
時代祭とは?
京都の誕生日とされる10月22日に毎年行われます。
(2020年と2021年は新型コロナウイルスの影響により中止されていました)
この10月22日は桓武天皇が都を
長岡京から平安京に移され
その車駕が新都平安京に入ったとされる日。
当日は京都御所の建札門前から出発し
烏丸御池、河原町三条を経由して平安神宮まで
約2,000名・約2kmにわたる歴史的衣装を纏った行列が
京都の街を練り歩きます。
見どころはこの各時代の行列に使用する
約12,000点もの衣装や祭具、調度品の一つ一つが
京都の工匠などが厳密な時代考証をもとに作製され
現代によみがえらせた本物であるということ。
時代風俗行列は維新勤王隊の奏でる
笛や太鼓の音色を先頭に明治維新時代から始まり
江戸時代、安土桃山時代、室町時代、吉野時代、鎌倉時代、藤原時代、
そして平安京の造営された延暦時代にまで遡っていきます。
時代祭の始まり
明治維新によって著しい衰退を見せた京都の町でしたが
1895(明治28)年、工業都市としての発展や
京都の圧倒的な文化度をアピールする一大事業として
政府主催の内国勧業博覧会を岡崎エリアで開催。
また平安遷都1100年紀年祭と式典も同時開催され
その紀念祭の象徴として平安神宮が創建されました。
この記念祭の京都人の熱意の象徴として
最終日に行われた時代風俗行列が現在の時代祭です。
時代風俗行列
この時代風俗行列の始まりには
"一目で京都の歴史と文化が理解できるものを"
"京都をおいて他にはまねできないものを"
という京都人の誇りと心意気が
ふんだんに織り込まれているため
京都が日本の首都として千有余年にわたって
培ってきた伝統技術の粋を堪能することができます。
鳴り物入りで登場する維新勤王隊から延暦時代まで
20列で1000年分を約2時間で見ることができる時代風俗行列ですが
開始当初は6列だったそう。
昭和にかけて列が増えていき
第二次世界大戦で一時中断されていましたが
1950年に再興されたタイミングで
江戸時代・中世・平安時代の3つの婦人列が新たに追加。
1966年に維新志士列が加わり現在の形になりました。
行列には桂小五郎、西郷隆盛、織田信長といった
歴史の教科書に登場するような人物に扮した人が
馬や牛車に乗って登場。
また歴史上の人物のみならず
京の町衆の風流踊りを再現した「室町洛中風俗列」や
職業集団ともいえる「白川女」「大原女」などの
当時の庶民たちの姿も見ることができます。
衣装やヘアスタイル、祭具など
時代による変化が正確に復元されているので
ファッションチェックしながら行列を見るのも
また楽しみの一つ。
同じ平安時代の女性でも
清少納言は十二単、
紫式部は小袿をまとっていたりと違いが見られます。
延暦時代まで遡ったあとは
神饌物を奉献する「神饌講社列」
雅楽の伶人などの「前列」が通り「神幸列」が登場。
2基の鳳凰の飾りのある御鳳輦が
この京都を巡行され市民の安らかな様子を親しくご覧になる、
という意味があるそうです。
京都の歴史を感じ発展を願う時代祭は
京都という地がどのように発展し
現在に至るか振り返ることができる日。
日本の京都の歴史に触れ
ルーツを感じる旅に出てみてはいかがでしょう。