Column
コラム
京の夏の風物詩:祇園祭
2024/06/24
7月が近づいてくると
京都人はそわそわ...
それもそのはず!
東京の神田祭・大阪の天神祭とともに
日本三大祭りのひとつに数えられる
祇園祭が始まります。
どこからともなく
コンコンチキチン、コンチキチンと
祇園囃子が鳴り響くのは7月1日から。
その後7月31日の疫神社夏越祭まで
1ヶ月続く八坂神社の祭礼です。
中でも山鉾巡行やその前夜の宵山は
大勢の人で賑わうことでも有名です。
今回は昨年の写真を用いながら
京都人が誇る祇園祭をご紹介していきます。
祇園祭のはじまり
そもそも祇園祭は
どれくらい前から行われているのか
ご存知でしょうか?
祇園祭の起源といわれるのは約1200年前のこと。
869年(貞観11年)都をはじめ国々に疫病が流行し、
人々はこれを牛頭(ごず)天王の祟りとして恐れました。
そこで国の数と同じ66本の矛を立てて祭りを行い
神輿を神泉苑(現在の二条城南側に位置する)に送って
疫神の祟りを祓おうとしたのが始まりとされています。
その後、力をつけた町衆が鉾と並んで
作り山や輿を建てるようになり
十六世紀には都の復興・有力商人の台頭とともに
豪華絢爛な祭りへと発展していったのでした。
現在はユネスコ無形文化遺産へ登録されています。
くじ取り式
祇園祭の最大の見どころ"山鉾巡行"。
この巡行の順番は毎年異なり、
例年7月2日の「くじ取り式」で決まります。
当日は長刀鉾などあらかじめ順番が決まっている
「くじ取らず」10基をのぞく24基の山鉾町の代表者が
正装で市議会議場に集結。
順番に議長席前でくじを引いて立ち会いの市長がそのくじを見て
大きな声で読み上げられます。
この「くじ取り式」は
応仁の乱からの巡行復興期の1500年(明応9年)に
山鉾の先陣争いが絶えなかったため
始まったとされています。
2021年には新型コロナウイルスの影響により
山鉾巡行はありませんでしたが「くじ取り式」は
技術や伝統の継承のためにもと行われていました。
祇園祭のお稚児さん
山鉾巡行の前祭で必ず先頭を行く長刀鉾。
巡行の日の朝、四条通麩屋町に張られた注連縄(しめなわ)を太刀で
断ち切る役目の稚児に毎年注目が集まります。
愛称は「お稚児(ちご)さん」。
かつては山鉾巡行の際に
船鉾をのぞいたすべての鉾にこの生稚児が搭乗していましたが、
その後稚児は人形へと姿を変えていき
現在は生稚児が搭乗するのは長刀鉾の1基のみとなっています。
祇園祭のお稚児さんは
「神の使い」とされ様々な八坂神社の儀式に携わりますが、
そのお披露目の機会が7月5日に行われます。
白塗りの化粧と冠を戴いて
振袖に萌黄色の肩衣と袴を着付けた稚児は
曳初めや山鉾巡行の際に舞う「太平の舞」を
長刀鉾町会所の2階から四条通に向かって披露。
この時、足元や体を稚児係や父親・祖父に支えられながら
窓から身を乗り出して大きく舞います。
鉾建て
7月10日になると前祭の鉾や山を組み立てる
「山鉾建て」が始まります。
鉾や山は釘を1本も使わず「縄がらみ」という
伝統技法を用いて建てられます。
長刀鉾を始めとする大きな山鉾も
10トン以上の重さで巡行する際
「遊び」の部分できしみを吸収できるため
部材を痛めにくいのだそう。
毎年てったいさんが集まり
手際よく組み立てられます。
神輿洗式
同じく7月10日夜には
八坂神社の神様たちの3基の神輿を清めるための神輿洗式が、
その神輿洗式の神輿を迎えるためのお迎え提灯が行われます。
こうしてお迎えの準備が整った神輿は
7月17日の夕刻から夜にかけて行われる神幸祭で
八坂神社から四条寺町の御旅所へと移ります。
これら神事も7月の京の夜を華やかにしています。
宵山
山鉾巡行の前夜である宵山になると
各山鉾町では豪華絢爛に飾りつけられた山鉾が披露されたり
祇園囃子があちらこちらから聞こえてきます。
菊水鉾では
お茶の接待席が設けられ、
この席のために作られた"したたり"という和菓子と
お茶をいただくことができます。
綾傘鉾では
鉾町の浴衣を着た綾傘鉾林方保存会による
「棒振り囃子」が披露されます。
空が夜へと表情を変える夕刻時に舞う
その美しさと華やかさはまさに風情を感じるひとときです。
山鉾巡行
そして7月17日。
長刀鉾を先頭に前祭の山鉾巡行が始まり、
エディオン京都四条河原町店が建つ
四条河原町交差点では
この日の最大の見せ場「辻回し」が行われます。
山鉾の車輪は車のように左右に曲がらないため
割竹に水をかけてその上で鉾を滑らせながら
掛け声とともに大きく方向転換をしていきます。
疫神社夏越祭
その後、後祭の鉾建てが始まり
様々な神事を経て「疫神社夏越祭」が行われ
高さ2mを超える大きな茅の輪をくぐり無病息災を祈ります。
この疫神社夏越祭をもって
7月いっぱいにわたって繰り広げられた
祇園祭が幕を閉じます。
今年もかつての華やぎを感じれられる日々が
もうすぐやってきます。